水戸岡鋭治の集大成!
本書冒頭の水戸岡鋭治デザイナーのインタビュー記事にもある通り、「ななつ星 in 九州」は日本で初めての本格的なクルーズトレインである。愛称名は九州の7つの県、九州のおもな7つの観光素材(自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車)、7輌編成の客車を表現している。その概要をご紹介しよう。
九州の食・文化を堪能するクルーズトレインの元祖
鉄道旅の新たな可能性を提案したクルーズトレインのパイオニア
九州は中国大陸や朝鮮半島に近く、古くはアジアの玄関口として栄えた歴史がある。2010年代には中国や韓国をはじめとしたイン
バウンド需要が増加した。
そうした事情を踏まえ、九州の外部からの観光客を取り込む目的で、これまでにない観光列車の開発が進められた。目的地への移動手段とは一線を画した“新たな鉄道”による旅が追求され、その結果、日本初のクルーズトレインとして「ななつ星 in 九州」が誕生した。
「ななつ星」の名称は、九州の七つの県(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・宮崎県・鹿児島県)と、九州を代表する七つの観光素材(自然・食・温泉・歴史文化・パワースポット・人情・列車)、そして7 輌編成の客車を表現している。客室はすべて個室で、そのほかにダイニングカー、ラウンジカーが連結され、専用のディーゼル機関車が牽引する。
木材を多用した内装は、車内とは思えないほどの洗練された空間となっている。2013(平成25)年10月の運行開始以来、人気は衰えを知らない。海外からの利用者も多く、アメリカの旅行誌「コンデナスト・トラベラー」の2021(令和3)年の読者投票で、列車部門の1位に選ばれた。2022(令和4)年には車輌の一部がリニューアルされ、新たな運行コースでの運用も始まり、今なお“進化”を続ける。